2003年、東邦大学整形外科教授の勝呂徹先生が、仰臥位における頚椎の傾きを「仰臥位頚椎傾斜角」と名づけてくださいました。

頸部がリラックスして楽な姿勢であるのはもちろんのこと、頚椎の前にある空気の通り道である気道の通りもよくなる大切な角度です。

仰臥位頚椎傾斜は、大後頭孔という脊髄が頭蓋骨内に入る大切な穴の前縁の中点と第7頚椎後面を結んだ線と、臥位姿勢の基準であるC7水平線とのなす角です。定義は難しいのですが、とても大切な角度です。

頚椎のMRI画像で、至適枕における仰臥位頚椎傾斜角を計測すると、大変興味深い結果が出ました。全体の平均角度は、18.1度です。これを男女別にしても、男性18.1度、女性18.1度とまったく同じになりました。

年代別に10代、20代、30代……80代と見ても、17.1~18.9度と大きな差はなく、変形性頚椎症、頚椎椎間板変性症、頚椎椎間板ヘルニアなどの疾患別でも、17.9度~19.2度と有意な差はありません。

つまり、枕の高さを個人個人に調節すると、男女年齢、疾患等を問わず、仰臥位類椎傾斜角は一定であり、その角度は18.1度だとわかりました。
この仰臥位類椎傾斜角を用いて、私は枕の調節方法を確立しました。側臥位と仰臥位に適合する枕の高さを決定する方法です。その命名は「背骨がぐっすり眠れるように枕を調節する」という意味です。

側臥位では頭部・体幹の中心線が臥床面に平行になるように調節し、仰臥位では仰臥位類椎傾斜角が15度前後になるように調節します。これは頚椎にある頚神経の出口が一番大きく開く角度で、そこ通る神経がゆるめられ、血液の循環がよくなり、楽に眠れます(ただし、疾患や姿勢に異常がある方では15度にならないこともあり、あくまで目安です)。

その後、スムーズな寝返りができるか確認します。

もし、ぎこちない寝返りだったら、側臥位と仰臥位をやり直してから、もう一度寝返りを確認します。これを繰り返しているうちに、必ず最もスムーズな寝返りができる高さに到達します。自分の枕で試してみてください。